「枯れた技術」
そう聞くと、なんだか古臭くて廃れてしまった技術という印象を持ってしまわないでしょうか。
しかし、「枯れる」という言葉は悪い意味で使っているのではなく、
「必要(本質的)なもの以外の むだや気負いがすべて省かれていて、かえって深い味わいを持つようになる」
という意味が一般的にあります。
ここから転じて、技術を駆使する現場では、「すでに広く使用されてメリット・デメリットが明らかになっている技術」という意味で「枯れた技術」と呼ぶのです。
ちなみに英語では “mature technology” (熟成された技術)と呼ぶそうです。
最新技術に潜む弱点
「最新技術を使ってものづくりをしている」と言うと聞こえはいいですが、その実態は、まだ社会的に十分運用された実績がなく、どういった問題が潜んでいるかがわからないものです。
ものづくりをする際に、優先すべきことが最新技術を用いることではないのだとしたら、今後起きうる問題が予測しやすい枯れた技術を積極的に取り入れることがむしろ望ましいとも言えます。
ゲームボーイが世に出てきた時、他のゲーム会社はゲームボーイよりも高性能を謳った携帯ゲーム機を世に送り出していました。
しかし、結果としてゲームボーイの方が面白いゲーム体験ができるハードとして世間に受け入れられたのです。
ゲームボーイの製造コストは、既に製造ラインのある枯れた技術を用いることで格段に安く済み、ゲームソフトの開発のノウハウも蓄積しやすい環境にあったといえるでしょう。
最新技術を使うことで、本質的な価値を生み出すことに集中できないリスクを背負うことがあり得るのです。
Webにおける「枯れた技術」
Web制作の現場でも、最新のWebアプリケーションを構築する際の技術がたくさん世に出てきていますが、どういった問題を孕んでいるかがわからないものばかりです。
Web開発者の間では賛否分かれるお話だと思いますが、Webサイトに少しインタラクティブな動きをつけるための実装をするだけならば、jQueryという枯れた技術を使うことも十分選択肢としてあります。
近年のフロントエンドの主流と言えばReactやVueを用いた実装ですが、まだまだWebサイト制作やランディングページ制作の現場ではjQueryを用いた実装をしている制作会社さんが多くいますし、弊社もその一つです。
本質的に何が価値となるのか、そのために必要となるコストとして最新技術は必須なのか。
疑い続けながら、技術を習得しながら、弊社のWeb制作はこれからも続いていきます。