フェードイン・フェードアウトを映像表現の歴史から考える

Webサイトで散見されるアニメーション表現に
「フェードイン・フェードアウト」
があります。

歴史的にはWebサイトで使われたのが最初ではなく、いわゆる映像制作、フィルムカメラの時代にまで遡ることになります。日本では活動写真と呼ぶのがふさわしい時代でしょうね。

黎明期はフィルムに記録された映像を編集することなく、そのまま流す「撮って出し」

ただ、時代が進むにつれてフィルムカメラは
「記録をするためのツール」という認識だけではなく、
「物語を作ることのできるツール」という認識が生まれ始めていきます。

さまざまな描写をするために、カメラ一つで撮影するのではなく、複数のカメラアングルを用意することも生まれるようになります。

そうして、映像をつなぎ合わせるための編集という作業が入ることが当たり前になっていくのです。

フェードイン・フェードアウトを最初に産んだのは、特撮の第一人者とも呼ばれている映画監督のジョルジュ・メリエス氏。

彼が編集作業でカット編集だけでなく、クロスディゾルブ(前のシーンと後のシーンをつなぎ合わせるときに、後のシーンの不透明度をだんだんと上げながら重ねる手法)を使うようになってから、多くの映画作品でフェードイン・フェードアウトが使われるようになったのです。

クロスディゾルブ、フェードイン、フェードアウトを使ったのは「時間の流れ」や「キャラクターの回想や思考」を表現できるから。

現代におけるWebアニメーションで使うフェードイン・フェードアウトにも、同じ意図が込められているのでしょうか?それとも別の意図に従ってのものでしょうか?

いずれにしても、何となくで使用するのではなく、その表現がぴったりであるという明確な理由をもって使用する姿勢であり続けたいです。